「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2015/10/04

ワインとイギリス人

今日も特に予定のない一日。家事と読書とクロスワードパズルの類。

朝食はヨーグルト、林檎一つ、珈琲。昼食は玉葱とハムのオムレツ、パンを少し、赤ワインを少し。夕食は、鯛の昆布締めに塩と酢橘で冷酒を五勺、冷奴、蒸し鶏、鶏スープかけ御飯。

「証拠」(D.フランシス著/菊池光訳/ハヤカワ文庫)、読了。今回の主人公はワイン酒屋の主人で、利き酒の名手。私はワイン通ではないので、ワインの銘柄や産地に寄せた微妙な意味合いがとれないところが多々あったかも知れないが、なかなか面白かった。ディック・フランシスの中期以降には、何らかの喪失感を持った主人公が冒険に巻き込まれた結果として本来の自分を取り戻す、というテーマがいくつかあって、多くは初期の傑作と比較して今一つの出来なのだが、「証拠」は成功作のような。

ところで、イギリス人のワインに対する思いは一種独特な面があるように思う。あまり知られていない作品だが、私のお気に入りの「ワインは死の香り」(R.コンドン著/後藤安彦訳/ハヤカワ文庫)でも、そういう印象を持った。それはさておき、「証拠」にも「ワインは死の香り」にも戦争ゲームが出てくる。かなりマニアックな趣味なので、偶然ではないかも知れない。つまり、ディック・フランシスがコンドンの作品にインスパイアされて「証拠」を書いた可能性もあるのではないだろうか。