「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2016/05/22

イネスの短篇

良い天気の日曜日。気温も上がり、歳時記で言へば「薄暑」か。家事の他には特に用事もないので読書など。

「アプルビイの事件簿」(M.イネス著/大久保康雄訳/創元推理文庫)、読了。名作とされる「死者の靴」など確かに、まさに都筑道夫の言ふモダン・ディテクティヴの典型であるなあと思ふのだが、一つ言へば、イネスには言はゆる「フェアプレイ」を遵守する気があまりない。しかし、期待する方が変なので、イネスの真髄は「家霊の所業」のやうな作品のひねつたユーモアにあると思ふし、「終わりの終わり」のやうなカーのミニチュア(「ミニ・カー」と呼んでみたりして)的なものも書けるし、ショートショートもうまい、と言つた具合に、短篇についてはその器用さを楽しむのが正しいのではないか。次は「ある詩人への挽歌」(M.イネス著/桐藤ゆき子訳/現代教養文庫)を読む予定。

夜は「モンテ=クリスト伯爵」(デュマ著/大矢タカヤス訳/新井書院)を読んだり。