「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2016/06/15

懐しのブルーバックス

子供の頃、講談社ブルーバックスのシリーズには大変お世話になつて、特に数学系の本は私に多大なる影響を与へたのだが、大人になつて随分と遠ざかつてゐた。そして、久しぶりに買つた一冊が、「コーヒーの科学」(旦部幸博著/講談社)。

著者は遺伝子学や微生物学を専門にする科学者なのだが、何げなく趣味に選んだ珈琲の魅力に取り憑かれて、アマチュアとしての愛情とエネルギーを珈琲の研究と調査に注ぎ込むこと幾年月、その結果を凝縮したのがこの一冊。コーヒーノキの植物学、コーヒーの歴史、おいしさの科学から始まって、焙煎、抽出の科学、健康との関係など、300頁ほどに盛り込まれた情報量がすごい。

この硬派な一冊の副作用として、昔、「ブルーバックス」の高等さうな数学に胸おどらせた子供時代をも思ひ出したことであつた。娯楽数学系は凄く充実してて高木茂男先生の「数学遊園地」とかガードナーの「数学ゲーム」(高木茂男訳)とか最高だつたし、本間龍雄先生のトポロジーの本とか、「現代数学小辞典」とかも興奮したよなあ。