「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2016/08/09

デイヴィッドスン

予報によれば今日の最高気温は三十七度。夕方退社。ふらふらしながら歸宅。湯船で「殊能将之読書日記 2000-2009」(講談社)を讀む。この時期の殊能センセーはアヴラム・デイヴィッドスンを集中的に讀んでゐる。

私が讀んだデイヴィッドスンはクイーンの「黄金の13/現代篇」(ハヤカワ文庫)に収められた「物は証言できない」と、「エドガー賞全集(上)」(B.プロンジーニ編/ハヤカワ文庫)の「ラホーア兵営事件」の二つのミステリ短篇だけなのだが、両作品とも良さが分からなかつた。ちなみに両方とも、業界最高の目利きが選び、絶賛した作品である。

しかし、私の読後感は、前者は「随分とご立派な作品だな」くらゐ、後者の方は「よくあるオチ、しかもうまく生かせてゐない」と言つた感じだらうか。こんなことを殊能センセーが聞いたら、小一時間説教されるか、呆れて口も聞いてくれないか、どちらかだと思ふ。しかしさう思つてしまつたものは仕方がない。今後の人生と讀書の修行の中でデイヴィッドスンの良さが理解できて行くものと期待したい。非ミステリ作品、特に SF 作品を讀むと悟りが開けるかも知れないと思ふ。微かな願ひとして翻訳が悪かつた、と言ふ可能性もなくはない。

湯上がりに、山形だしを乗せた冷奴でビール。漸く生きた心地。のち、子母沢流の豚肉と饂飩のしゃぶしゃぶ。うまい。夜は "Death at the President's Lodging" (M.Innes / House of Stratus)の續きを讀んだり。