「夫子憮然曰、鳥獣不可與同羣。吾非斯人之徒與、而誰與。
「論語」微子、第十八、六

2017/03/20

「幼年期の終り」とバッハ

明日からバルコニーの洗浄と塗装が始まるのでその準備をしたり、本を整理したり。私の書庫の分類では、小説部門は「ミステリ」「それ以外」の二つにしか分かれていなかつたのだが、「SF」を新設してみた。

昨日、「幼年期の終り」(A.C.クラーク著/ 福島正実訳/ハヤカワ文庫)を讀了。ああ確かにかう言ふ話だつたよね、とストーリィを確認する読み方になつてしまつた。その意味では、再讀に耐へない傑作の一つかも知れない。また、そのテーマが現代 SF の視点からすれば陳腐かも知れない。しかし、その思弁の深さ、先駆性、ユーモア、小説としての完成度を総合して、私が言ふまでもなくベストテン級。少なくとも発表時点では、特に欧米人にとつて、衝撃的だつたのではないか。

それはさておき、再讀すると、すつかり忘れてゐた細部に妙に感心することがある。例えばこの「幼年期」だと、地球に一人殘された男が毎日バッハを聞いたり、ピアノで弾いたりしながら最期の日々を暮らすところの描写とか。ふと月を眺めて、月の自転の變化に気付くところとか。

「幼年期の終り」の次は、「砂漠の惑星」(S.レム著/飯田規和訳/ハヤカワ文庫)を讀んでゐる。